顧客情報を有効活用できれば顧客満足度の向上や集客力アップにつながります。

しかし、顧客情報の活用はおろか共有すらできない企業も多いのです。

そこで、こうした企業の業務・経営改善に役立つCRM分析について、基礎から解説します。

≪この記事は下記のような方におすすめです≫

  • CRM分析の基本知識やメリットデメリットを知りたい方。
  • CRM分析の代表的な手法を知りたい方。
  • CRM分析を効果的に行うためのポイントを理解したい方。

1.CRM分析とは

CRM(Customer Relationship Management)分析とは「顧客との関係管理を徹底するための分析」のことです。自社の顧客を維持し、企業価値を高める目的で行われます。CRMはOne to Oneマーケティングの考え方と近く、個々の顧客との関係性に焦点を当てているのが特徴です。

自社のリピーターやファンを獲得するというスタンスは、LTVという考え方とも合っています。短期的な売上げではなく、取引開始から終了までのトータルの利益に着目したLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という指標は、顧客がその企業へもたらす売上げをより正確に把握するのに役立ちます。このLTVを最大化するためにも、CRM分析は欠かせません。

CRM分析では主にITシステムが用いられ、顧客の年齢・性別といった属性のほか、購入時の行動履歴・購入頻度などの分析が可能です。

それによって、優良顧客やリピーターになりそうな顧客の情報がみえてきます。この分析結果を元に、次に購入してもらえる可能性が高い商品のマーケティングや、優良顧客へと育てるための戦略などを、効率よく打ち出すことも可能です。

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2.CRM分析が注目される背景

CRM分析が注目される背景には「ニーズの多様化」があります。かつては対象となる消費者を特定せずに、画一的に高品質な商品を大量生産して売るというマス・マーケティング手法を用いれば、新規顧客の獲得は容易でした。

テレビCMなどによって購買意欲を刺激することも比較的簡単だったといえるでしょう。しかし、経済成長が行き詰まり、縮小傾向の市場が多い一方で、顧客のニーズも多様化しています。商品を画一的にただ発表しても売るのは難しく、顧客のニーズをきちんと把握することが重要になったのです。

インターネットとスマートフォンの普及により、顧客が自主的に情報を仕入れるようになったのも、ニーズの多様化に拍車をかけています。

多くの人に対して広告するのは非効率となり、ターゲットの顧客層に向けてピンポイントでアピールする重要性が高まってきたのです。

こうした営業活動をするには、企業が顧客の視点に立ってニーズや課題を分析し、解決することが求められています。

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3.マーケティングにおける顧客分析とCRM分析の違い

CRM分析とマーケティングにおける顧客分析の大きな違いは、分析する対象です。

マーケティングにおける顧客分析が「市場」を分析するのに対して、CRM分析は「顧客」を分析します。

マーケティングの顧客分析では、自社の製品やサービスと消費者ニーズの関係について、市場を対象にリサーチするのが一般的です。潜在顧客や市場の規模、市場の成長性など、あくまで市場そのものを対象として顧客分析を行います。

一方、CRM分析の分析対象は顧客です。例えば、自社の製品やサービスを一度利用した顧客が再び利用しているか、どのような購買行動をとっているのかなど、顧客そのものの志向や行動を対象にして分析します。

4.CRM分析のメリット

CRM分析の最大のメリットは顧客情報の「見える化」です。

CRMを導入することにより、これまで担当者だけが把握していた情報を一元的に管理できるようになります。例えば、特定の営業部員しか知らない顧客との商談やクレーム処理などを、各部門がリアルタイムで共有するなども可能です。

戦略的なマーケティング戦略を立てるうえでもCRM分析は役立ちます。従来の販売管理システムは、主に季節や時間帯によって売れる商品から販売予測を立てていました。

しかし、CRM分析による顧客情報を組み合わせれば、より顧客のニーズに合わせた戦略的なマーケティングが可能になります。

もちろん、CRM分析によって優良顧客やリピーターになる可能性のある顧客をみつけやすくなるため、対象を絞って効率よくセールスができるようにもなるのです。

5.CRM分析のデメリット

CRM分析のデメリットには、まずコストの問題があります。CRM分析にはシステムの導入や運用が不可欠となるため、ある程度、費用がかかります。

導入コストはサーバーの購入や設置の費用、CRMソリューションの購入費などです。運用コストとしては、システムを運用する担当者の人件費、サーバーの設置スペースや電気代、月々のCRMソリューションの利用料などがあります。

費用対効果がみえにくいのもCRM分析のデメリットです。CRM分析は一朝一夕で効果が出るものではないため、単純に導入効果を金額換算できません。

また、CRMシステムの導入によって、サービスの柔軟性を失うリスクもあります。例えば、顧客対応までマニュアル的なシステム化を押し進めると、人の手が介さないことから業務の柔軟性が失われ、顧客から不満が出るケースもあるのです。

6.CRM分析の代表的な手法

CRM分析には実にさまざまな手法が存在します。ここでは、その中でも代表的な5つの分析手法を選んで、それぞれの特徴を紹介します。

6-1.RFM分析

RFM分析は直近の購入日を示す「Recency」、購入頻度を示す「Frequency」、購入金額を示す「Monetary」の要素によって顧客をグルーピングする手法です。それぞれの要素の頭文字をとってRFM分析と名付けられています。

RFM分析は直近の購入日(R)、購入頻度(F)、購入金額(M)の各要素で顧客をスコア付けし、優良顧客とそうでない顧客に分類することから始めます。各要素の分類が完了したら、次にRとFの2次元の分析、そしてRとFとMの3次元で分析していくのがRFM分析です。例えばRとFのスコアが高ければ、頻繁に企業の商品を購入してくれるリピーターであることがわかります。

もし、Rが低くFが高いなら、かつてのリピーターが離反しつつあるのかもしれません。こうしたことがわかるのも、RとFの2次元で分類したからです。

さらにMも加えて3次元で分析すれば、RとFとMがいずれも高い顧客は自社のファンと推察するなどが可能です。

RFM分析は3次元の高度な分析なので、実際のマーケティング戦術にそのままでは適用しにくいケースがあります。例えば、RとFとMをそれぞれ5段階にランク付けしたとしましょう。

そうすると、5×5×5=125種類に分類された顧客が存在することになります。実店舗で125種類のサービスを提供できるかというと、やはり難しいといえます。

逆に、自動で顧客に合わせた広告表示や情報配信などをするようなシステムを構築しているEC事業者ならば、きめ細やかなサービスに利用できるかもしれません。

6-2.デシル分析

デシル分析はある期間における購入金額によって顧客をグルーピングする、非常にシンプルな手法です。

まず、顧客を購入金額が多い順に並べます。次に、それを10のグループに分けます。ここではわかりやすいように顧客数が1000人いたと仮定しまましょう。すると、1000÷10=100人ずつグループ化され、デシル1~10のグループに分類されます(「デシル」はラテン語で10分の1を意味する言葉で、デシル分析の名前はここから付けられています)。

最後にデシル1~10ごとの購入金額の合計を求め、それが全体の売上げの何%を占めるか算出します。

このように分析することで、例えば「デシル1~2(上位200人)が売上げの半分以上を占めている」といったように、どのグループがどのぐらい売上げ全体に貢献しているのか分析できるのです。

分析そのものは非常に簡単ですが、その結果からどの顧客層へアプローチするかが課題になります。

例えば、売上げの貢献度が高い常連層をさらに優遇するか、あるいは新規顧客開拓のために積極的に広告をするかなど、分析結果の解釈と次のアクションが重要になるのです。

6-3.セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、年齢・性別・居住地域といった顧客の属性や購買履歴などから、顧客のグループ分け(セグメンテーション)をして分析する手法です。セグメンテーションでは複数の指針で多角的に分析を試みることが大切です。

例えば、ある商品の購入層を年齢だけでセグメンテーションした場合、単純に特定の年齢層が高いニーズを示すとは限りません。同じ年代でも性別や家族構成、勤務形態などの違いがあるので、多角的に分析することでより精度が高まります。

最も商品購入に結びつく属性は何かという視点を持って、さまざまな属性でセグメンテーション分析を行うことが重要になるのです。

正しくセグメンテーションができているかどうかは、4つのRという観点からチェックすると効果的です。1つ目のRは「Rank(優先順位):顧客層を重要度でランク付けできるか」です。

2つ目のRは「Realistic(有効規模):利益が確保できるセグメントの規模であるか」、3つ目のRが「Response(測定可能性):顧客の反応を推測できるか」となっています。

4つ目のRは「Reach(到達可能性):顧客に効率的に到達できるか」です。

6-4.CTB分析

CTB分析とはCategory(分類)、Taste(デザインやサイズ)、Brand(ブランド)の3つの指標で顧客を分類する手法のことです。それぞれの指標の頭文字を取ってCTB分析と名付けられています。

Category(分類)は商品の分類を行う指標です。例えばレディースやメンズ、キッズ、生活や食品といった大分類、スポーツウェアやインナーウェア、キッチンといった中分類があり、さらに細分化した小分類まで含まれます。

Tasteは、色や風味、模様、形やサイズなどの指標です。

Brandはその名のとおり商品のブランドによる分類のほか、キャラクターなどによって分類されることもある指標です。

このように各指標を用意しておけば、顧客が商品を購入するたびにデータを分類して蓄積していけます。

購入された商品がどのような分類に属し、どのような色や形だったかという情報は、顧客の好みを分析するのに役立ちます。さらには、新商品の販売予測にも活用できるでしょう。

6-5.クラスター分析

クラスター分析とは、異なった性質のものが混ざり合った集団から、似通った性質のものを集めてクラスター(ある傾向を持つ集団)を作成する手法のことです。

アンケートなどで「栄養バランスに気を付けていますか」「外食を週に1回以上しますか」といった複数の質問に回答した経験のある人は多いでしょう。実はこれはクラスター分析のためのアンケートなのです。

ある仮説に基づいて情報を収集し、傾向を導き出して、クラスターを作成します。この例では「健康第一タイプ」「外食好きのグルメタイプ」などのクラスターを作成できるかもしれません。

重要なのは、前もって分類の基準を決めず、分類をしてから、なぜそのようなクラスターを作成したかという理由を考えることです。

したがって、男女別や年代別といった、基準に基づくグループ分けはクラスター分析とはなりません。クラスター分析では、いくつのグループに分けるのか、クラスターを作成する際の類似度をどう設定するかなど、自由度が高いのも特徴です。

そのため、設定しなければならない項目が多く、扱いが難しくなります。設定すべき項目が多いので、最適なクラスターの設定というものも存在しません。

また、最初に設定したデータによって結果が大きく変わります。クラスター分析では何度も分析を実施し、仮説を実証する作業が必要なのです。

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7.CRM分析を効果的に行うためのポイント

CRM分析の導入においては、どのようなポイントを意識すればよいのでしょうか。具体的なポイントを3点紹介します。

7-1.情報の収集と蓄積

CRM分析の導入では、まず情報の収集と蓄積から始めるのがポイントです。

CRMソリューションを導入していない企業でも、顧客情報をExcelなどでデータベース化するのは一般的です。

しかし、担当者の連絡先や購入履歴といった内容に限られ、顧客の志向などの情報は担当者しか知らないケースも多いのではないでしょうか。

CRM分析では購入した製品やサービス、取引金額や数量といった購入実績、購入頻度の管理が容易です。

さらに購入目的や志向、ニーズといった情報も顧客属性として管理できます。また、販売目的や購入見込みなどの予測も管理情報に含められます。収集し蓄積した情報は社内で共有を図り、全員が活用できるようにするのもポイントです。

部署間の連携をどこまで進められるかは、導入するCRMソリューションにもよりますが、いずれにしても収集すべき情報をリストアップし、データの蓄積・共有を実施するのがポイントです。

7-2.ERPの検討

ERPとは統合基幹事務システムと呼ばれ、複数のITシステムを統合管理する役目を持つシステムです。

CRM分析では従業員全員が情報を共有できることが不可欠です。ERPによって、各所のデータをすべて1つのデータベースで管理できるようになります。

情報の一元化だけでなく、ERPによって業務を効率化することも可能です。例えば、仕入れシステムと在庫システムを連携させると、仕入れから在庫管理までの作業をスムーズに進められるでしょう。

CRM分析の精度を上げるためにもERPは重要です。

BI(ビジネス・インテリジェンス)と呼ばれる分析システムと連携させれば、組織全体の情報資源を分析対象にできるため、より高度な分析が可能になるからです。

 

7-3.既存顧客への適用

CRM分析は顧客の囲い込みというスタンスで実施されているケースが多いといえるでしょう。

より安定的、継続的な経営をサポートしてくれるのもCRM分析なのです。見込み顧客を新規顧客とするには、広告やマーケティングが必要となり、既存顧客を維持するよりも費用がかかります。

そのため、CRM分析はまず既存顧客への効果を見ながら運用するのが望ましいといえるでしょう。

既存顧客の情報を分析してニーズに合った製品やサービスを提供できれば、顧客満足度のアップが期待できます。

すでに優良顧客なら今後も継続して自社の商品を購入してもらえるでしょうし、また、既存顧客から優良顧客になってもらいやすくなります。

7-4.自社に合ったCRMソリューションを選ぶ

CRMソリューションの機能や規模はさまざまです。そのため、自社に合ったCRMソリューションを選ぶことが重要です。まずは導入前に目的を明確にしましょう。「顧客との関係性強化」「売上げアップ」など、目的を明確にすることでCRMソリューションとして導入すべき機能がみえてきます。

「顧客との関係性強化」ならば、顧客情報から購入パターンなどを分析できる機能に特化したものが望ましいといえます。「売上げアップ」なら、営業担当が精度の高い活動をサポートする機能が役立つでしょう。

例えば、顧客情報の分析を中核として商談状況やスケジュールなどを一元管理するCRMソリューションを導入すれば、営業活動とCRM分析をひも付けて実施できます。

多機能であれば必ずしもよいわけではありません。複雑なものは扱いづらいため、使い勝手を重視することが大切です。

また、営業部門の日報の一部が自動的にサービス部門で参照できる顧客情報として連携されるなど、業務がシームレスにつながる操作性も重要です。

CRM分析を適切に行い集客力アップをはかろう

CRM分析を用いると、顧客情報から集客力アップに結びつくさまざまな情報が得られます。紹介した内容を参考にして、企業の課題や目的と照らし合わせながらCRM分析を導入してみましょう。

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